ワンタッチ開閉式加熱コイル(ソレノイド型、均一加熱)
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(特許第4668025号)
ワークコイルの被加熱物への移動とセットについて、通常のソレノイドコイルは一本の連続線で構成されており、分割できないので、コイルをセットするには、被加熱物の軸方向端部からしか移動できません。被加熱物が長尺な場合、コイルの移動距離はその長さ分必要で、作業性がよくありません。また被加熱物の途中に、コイル内径よりも大きい部分があると、移動もできません。
また均一加熱について、通常のソレノイドコイルは螺旋形状をしているので、コイルの両端部は加熱が不均一になります。それはコイルの巻きピッチが大きい程、顕著になります。
弊社では、他のページにありますように、鉄筋の高周波加熱接合法を開発しており、通常のソレノイドコイルの上記不具合を解消する必要がありました。特に鉄筋へのコイルのセットが問題で、鉄筋の接合前はコイルを鉄筋の半径方向から挿入できるのですが、接合後は当然半径方向から抜くことができず、軸方向へ移動させる必要があります。しかし鉄筋は数メートル有り、建設現場では足場も無いのでコイルの移動はほぼ不可能で、もし可能でも非現実的な作業になってしまいます。開発当初は、鉄筋接合後は巻かれたソレノイドコイルを破壊して抜いており(使い捨て)、大変非効率、非経済的でした。次に開閉式の馬蹄形コイルを製作し、試作と改良を重ねましたが、加熱を均一にする事が達成できず、良好な接合を行えませんでした。最後にたどり着いたのが、ソレノイドコイル以上に均一加熱でき、且つ分離(開閉)が可能な構造でした。これも試作と改良を重ね、本ページに記載のコンパクトなワンタッチ開閉式加熱コイルを作る事ができました。コイルには数100Aの電流が流れますので、銅管を使用して内部に冷却水を流して冷却します。よって分割(開閉)するには電気と冷却水の両方を開閉する必要が有ります。本ワンタッチ開閉式加熱コイルは、電気は接点とヒンジ軸で開閉を行い、冷却水はコイルの片側で循環させて開閉部を設けない、というこれまでに無い構造を有しております。且つそのような複雑な構造でもコンパクト化を実現しております。またヒンジ部の構造に工夫が有り、ソレノイドコイルの電気の流れ方をしながら、螺旋形状では無く、平行なコイルを重ねたような流れ方を実現し、コイル端部の不均一な加熱を防ぐことができます。
なお上記は加熱しやすい鉄の例ですが、電気抵抗が低く加熱し難い銅の加熱も可能です。長尺の異形銅パイプのロウ付けを目的に製作した誘導加熱システムと本ワンタッチ開閉式加熱コイル(異形ワーク対応形状)でロウ付けシステムの実績もあります。
このように、本ワンタッチ開閉式加熱コイルは、長尺の被加熱物の問題、ソレノイドコイル端部や馬蹄形コイルの不均一加熱の問題を解決できます!是非ご検討下さい! 以下は鉄筋へ使用した動画です。
以下、適用例です。
被加熱物: | 鉄筋 | |
被加熱物サイズ: | Φ19- 51mm | |
加熱時間: | 30 - 300sec | |
周波数: | 20 - 30kHz | |
電流: | 700 - 900A | |
電圧: | 90 - 120V |